昨年度行った200名程の3〜5歳児を対象とした全国調査では、幼児の身体表現の定型化の度合いは、発達段階にともない強くなる傾向が確認された。 今年度は特に、定型化に影響を与えるひとつの要因として、メディアの影響を取り上げ、幼児向けの番組でどのような身体表現がどれくらいの頻度で使われているのかについて、予備的な調査で幼児が好んで見るいくつかの番組をピックアップし、その市販ビデオを対象に検討を行った。 結果として、歌や劇などの場面で、多くの定型表現が使われていることが明らかとなり、その視聴の有無や視聴時間が幼児期の身体表現の定型化を促進する大きな要因であることが推察された。今後は、この両者の関係について、各個人を対象とした詳細な検討を進めていくことが課題と考えられる。 また今年度は、特に身体的な障害等により、定型的な身体表現を行うことが困難な場合の表現方法についても、6名の肢体不自由児を対象とした検討を進めてきた。結果として、肢体不自由の障害のある幼児は、定型的な表現をベースに、それを各身体の特性に適応させながら表現することが明らかとなった。
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