研究課題/領域番号 |
09780096
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
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研究機関 | 浜松大学 |
研究代表者 |
菊本 智之 浜松大学, 国際経済学部, 講師 (70267847)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 近世後期 / 武芸関係史料 / 松平定信 / 松代藩 / 真田幸貫 / 東海地方 / 吉田藩 / 松平信明 |
研究概要 |
今回の研究を通して、武芸の発展の過程には、仏統的に洗練され、さらに発展してきた部分があるとともに、近世後期という激しい時代の流れの中で、それまでとは違った新しい価値観が求められ変革の必要に迫られて発展してきた部分があったことが明らかとなった。そして、そこには、社会情勢から生まれた被支配者側の武芸実践者の欲求と、幕閣や藩主といった支配者側の危機感から生じた武芸改革と深い関係があった。平成9年度から10年度に行った調査では、近間後期を代表する政治家、武芸界にも多大な影響を与えた松平定信が、世を治めていく武士階級にとって、最も理想的な武芸として自ら発展させ開発した甲乙流が、定信の嫡子定永が藩主であった東海道地方の桑名藩でのみではなく、定信の次男定栄を通して松代藩へ入り、そこでも行われていたことが明かとなった。定栄は、真田幸貫となって後に、定信と同様、幕府の老中、海防掛となるのであるが、松代藩では、同時に甲乙流の開発に大きな影響を与えた起倒流柔道の伝書も同時に調査することができ、藩主や幕閣の間で展開した武芸やその思想の様相の一部を明らかにすることができた。このあたりの詳細は、一部まとめたものを平成10年度日本武道学会第31回大会で「松代藩伝甲乙流について」と題して発表したが、これら貴重な史料を元にさらに解読、整理、分析研究を行い、後日、論文の形式で成果としてまとめる予定である。 その他、平成10年度には、東海の三河地方の調査として、吉田藩の大河内松平家の武芸史料を調査し、直心影流、入坪流、日置流などの史料を調査した。吉田藩主の松平信明は、松平定信の後を承け老中首座として、党政の改革を推進した人物で、ここでも政治的なつながりと武芸の関わりが見いだせる可能性が生まれてきた。 各方面で収集できた史料の解読・分析・研究は継続中の部分も多々あり、今後分析のできたものから、順次、成果としてまとめ、発表していく予定である。また、今回明かとなった、東海地方から信州を含めた広り範囲に展開している武芸の諸様相の研究には、これを足がかりに一層深い研究が必要である。今後の課題とする。
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