研究概要 |
今年度は,昨年度実施できなかった閉経期以降の女性における骨密度(BMD)の測定を行い,骨量,筋力および筋量の関係について検討した。被検者は閉経後の女性50歳から74歳までの30名であった。BMDは現在最も利用されている撓骨用DEXA(DCS-600EX)を用い撓骨1/3遠位部を測定した。また,大腿部の皮下脂肪,筋および骨の各組織横断面積の測定は佐藤らの開発した体肢横断面画像測定システムを用いて行い,筋力は等尺性最大膝関節伸展・屈曲力を測定した。さらに,被検者の生活習慣を把握するために病歴,運動歴,食生活等のアンケートを行った。 BMDとの相関関係は年齢(r=-0.633),閉経後の年数(r=-0.564)と有意な負の相関,身長(r=0.423)と有意な正の相関がみられた。筋横断面積と筋力については有意な相関はみられなかった。また,閉経後の女性は同じ年齢でもBMDに大きな差があることから,BMDの高いグループ(高BMD群),低いグループ(低BMD群)の2群に分け,それぞれのグループの特徴を明らかにするために,測定されたパラメータについて比較を行った。その結果,BMD以外のパラメータについては両群間に有意差はみられなかったが,体重,除脂肪体重および伸筋群横断面積において,高BMD群が低BMD群よりも大きい傾向がみられた。 以上のことから,BMDは年齢が最も影響を及ぼすことが示唆された。また,筋横断面積や筋力についてはBMDと有意な相関はみられなかったものの,特に筋量に関するパラメータにおいては,高BMD群が低BMD群より大きい傾向を示した。本研究はフィールドで行った調査研究にも関わらず被検者数が30名と少なかったので,今後はできるだけ多くの被検者を対象に,骨量と筋量および筋力の関係を明らかにしていきたいと考えている。
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