研究概要 |
本研究は,GISを用いて,わが国全体の社会地図を作成することを目的とする。社会地図は,国勢統計区や1km・500mメッシュのような小地域を空間単位として作成されるため,データ量が膨大となることからこれまで特定の地域に限定せざるを得なかった。これに対して,近年のコンピュータ・テクノロジーの進展は,大量データの処理を可能とした。本研究での成果は、以下のようである。 1) 1990年、1985年国勢調査の地域メッシュ統計に対して、全国の任意の地域、あるいは全国一括の範域に対して、任意の変数をメッシュ・コードとともに抽出し、あらゆるGISソフトへ取り込む形式に変換するプログラムを開発した。 2) デジタル社会地図の変数として、従来の因子生態学研究の成果から、年少人口の比率、老年人口の比率、高等教育終了者比率、労動力率・女、持家世帯比率、過去5年間の流入人口率、ブルーカラー比率、管理的職業従事者比率の8変数を特定し、全国(1kmメッシュ)、東京特別区・政令指定都市(札幌市、仙台市、千葉市、川崎市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市)(500mメッシュ)に対して、それら8変数のデジタル社会地図を作成した。 3) このシステムを用いて、阪神・淡路大震災の被害とデジタル社会地図の重ねあわせによる、被害と居住者特性の分析や、全国メッシュ・マップの作成などを行った。 4) 作成されたデジタル社会地図はHPによって公開され、いくつかのGISデータセットは、インターネットを介して提供される。
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