研究概要 |
今年度の課題は,本手法についての,1.測定値の精度・確度・再現性の検討と向上といった測定手法自体の洗練化,2.チタン磁鉄鉱の主成分化学組成がテフラの特徴づけに有効であるか否かの検証,3.テフラ同定に対する具体的な応用研究,からなる.1.については平成9年度と今年度に得られた測定値について,測定の精度が保たれかつ,テフラ堆積後の低温酸化による主成分化学組成の変質についての評価を行なった.具体的には測定値に対する再計算用プログラムをあらたに作成して全ての測定値についての検証を行なった.その結果,本方法に本質的な問題は見出されなかったが,測定値の処理や同定する際の数値の取り扱いにはいくつかの注意が必要であることが明らかになった.なお,大量のデータを処理・保存するために設備備品として購入した光磁気ディスクユニットを用いた.2.については同一テフラに含まれるチタン磁鉄鉱が粒径の違いに応じてどの程度に主成分化学組成が変化しうるかを,また,産出地点の違いによる風化度の進行程度がどの程度主成分化学組成に影響を与えるかを検討した.その結果,今回検証対象とした赤城水沼第1テフラのチタン磁鉄鉱については主成分化学組成が安定し,いずれも同定上の大きな問題が生じないことが判明した.3.については,大町APmテフラ群,上宝テフラ,赤城水沼テフラ群,飯縄火山起源テフラについての測定を行ない,従来の対比同定の信頼性を高めると同時に,新たな対比の確立に役立てた.
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