研究概要 |
平成9年度は、既に開発していた「声の誘導、大きさ、長さ、高さ」「5母音」「オンラインヘルプマニュアル」等の基本的発話訓練ソフトウェアに加え、以下に示すソフトウェアを開発した。ゲーム性を重視し、より操作が簡単にできるよう努めている。児童に訓練していることをなるべく意識させないで、楽しみながら遊べるように配慮してある。 UFOキャッチャー・・・声の連続断続訓練に用いる。一定の大きさで声を出し続けるとクレーンが動く。1度目の発声で右方向に動き、2度目の発声で下方向に動く。 ロケット・・・無声音の訓練に用いる。ゲームがスタートするとカラスが左から現れる。正確に発声できたら弾が発射される。 もぐらたたき・・・母音訓練に用いる。モグラが穴の外に出ている間に、穴に付けられた母音名を発声する。正しく発声できたらモグラをトンカチで叩いたことになる。 音声迷路・・・日常生活で良く使う単語の訓練に用いる。ランダムに作成される縦横Nマス(N=2〜30の間で指定)の迷路を音声で操作しながら出口を探索する。 これらの発話訓練ソフトウエアは5つの聾学校において実際に評価していただいている。 平成10年度は、子音の中でも特に区別が困難な有声破裂音/b,d,g/に対して、後続母音非依存及び依存型認識モデルの比較検討を行った。認識方法としては、DPマッチング、TDNN、HMMの3手法を用いた。後続母音に依存しない実験では、TDNNによる認識結果が最も高く74.3%であった。一方、後続母音を考慮した実験ではDPマッチングで最高88.3[%]が得られたほか、全体的に認識率が向上した。3手法を統合した場合、後続母音に依存しない認識モデルに比べ、後続母音依存型モデルによる認識率が平均10%向上しており、後続母音を考慮した認識法が有効であることを示した。
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