研究概要 |
複数個の多変量正規分布の平均の線形結合に対する推測において、発生するリスクを制御するための手法を、共分散行列の構造を仮定して二段階法を用いて開発した(論文2)。開発された二段階法は、多変量解析の第一人者M.S.Srivastava教授(Toronto大学、Canada)および熊本大学との意見交換によって、共分散行列の構造が未知の場合にも有効なものへと一般化された(投稿中a,b)。また、二段階法の実用化でしばしば問題となるオーバーサンプリングについても、初期の標本数にある条件を与えればデータ数の節約が可能であることを、共分散行列が構造をもつという仮定のもとで、多段階法の第一人者N.Mukhopadhyay教授(Connecticut大学、U.S.A.)との意見交換によって論文1で証明した。この結果は、共分散構造が未知の一般の場合でも成り立つことが証明され(投稿中c,d)、二段階法の有効性に関する高次の漸近理論として纏められた(投稿中e)。逐次解析法の残り3つの手法(逐次法・三段階法・加速法)に対しても同様の漸近理論を展開し、二段階法を含めた4つの手法の有効性の精密な比較を行うことにも成功した(投稿中f)。 多群判別問題への応用として、判別ルールの良さを判定するための4つの基準を与えた。各々の基準に対する最適な判別ルールの構築に、愛媛大学との意見交換で進めた高次の漸近展開を用いる方法で成功した(投稿中g)。 非正規分布への拡張として、複数の政党が候補をあげる選挙での新党の影響を推測する問題を考えた。これは、多項分布における最大セル確率の選択問題を局外母数がある場合で扱うという、選択理論の新しいアプローチを生む。要求される精度を正確に満たす推測方法が、選択理論の第一人者P.Chen教授(Syracuse大学,USA)との意見交換によって開発した二段階法によって与えられた(論文3)。
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