研究概要 |
数量化III類による質的データの分析結果は、必ずしもデータ構造を適切に明らかにせず,場合によっては誤った解釈を導く可能性がある。本研究では、従来の数量化法が抱える問題点に対処するため、等質性分析という手法を拡張し、それを現実データに適用したときの手法の有効性と限界について検証することを目的とした。 そのため昨年度に引き続き、人工データを用いてどのような場合に従来の手法が構造の探索に失敗するのかを検証した。 それと同時に、昨年度までに開発してきたUNISCALという手法の有効性について検討した。具体的には、子どもの体験活動等に関するサンプル数11,123名の調査データに適用した。そして、「日常の生活習慣や道徳観・正義感に関する項目」や「生活体験・自然体験に関する項目」、「両親から言われることに関する項目」について項目の選択を行い、それらの項目を基に尺度を構成することができた。 また、アルファ係数に代表されるような従来用いられてきた信頼性係数は、項目数が多いほど値が大きくなる。そのため、項目数を減らして尺度を構成するという立場に立つUMSCALを用いる場合には、従来の信頼性係数は信頼性を表すものとしては必ずしも適当なものではなく、新たな指標を考案する必要性のあることが明らかになった。
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