研究概要 |
本年度は,我々のこれまでの主記憶・二次記憶間の記憶階層の言語処理系のレベルでの隠蔽に関する研究において示されているFortranの言語仕様による限界を,HPFでの言語拡張を使い行列の分割やサブルーチンへの受け渡しを明示的に書くことで克服するために,以下のような研究を行った。 ● 実用レベルの大規模数値解析サブルーチンの実例として分散メモリ型並列計算ライブラリとして公開され広く用いられているScaLAPACKを取り上げ,これの機種依存部分をHPFに極めてよく似たデータ並列型For-tran言語であるVPP Fortranを用いてデータ転送コストを最小化する形で書き換え,分散メモリ型並列計算機VPP500の上で実測による性能評価を行った。 ● 国内の並列計算機のベンダとユーザによるHPF合同検討会(JAHPF)に参加し,仕様の検討を行った。JAHPFでは平成10年春にHPF/JA 0.9draft仕様を公開し,平成11年1月にHPF/JA 1.0仕様を決定した。 ● HPF/JA 1.0で導入された言語拡張のうち,通信最適化に関する拡張仕様,とくに,非同期転送機能や明示的シャドウ,ON指示文のHOME節の拡張などが記憶階層の隠蔽にも応用できることを確認した。
|