研究概要 |
本研究の実績を以下に示す. 1. 前年度の研究成果である診断用テスト集合を用いた多重ゲート遅延故障に対する診断法を提案した.本研究では,これまでに提案されていない信号線の信号値および信号変化時刻を利用した診断法を考察した.本診断法では,信号伝搬遅延時間を利用し,外部出力で観測された信号変化の最終変化時刻を決定した信号変化の伝搬経路を外部出力側から推定する.本診断法は平成9年度の成果である診断用テストを利用した手法である.まず,これまで我々が提案した多重縮退故障に対する推論規則に基づいて,ゲート遅延故障に対する推論規則を考察する.次に,外部出力で観測された故障出力と最終変化時刻に基づいて活性化経路上の被疑故障を推定する診断法と,外部出力で観測された正常出力と最終変化時刻に基づいて活性化経路上の正常な信号線を同定する診断法をそれぞれ提案した. 2. 前年度の科学研究費補助金により購入したワークステーション上に提案した診断法を実現し,国際会議において定められたISCAS'85ベンチマーク回路に適用した計算機実験を行った.実験結果から,提案した診断法は高い診断分解能を得られることを示した.
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