研究概要 |
1. 定常Navier-Stokes方程式の解析解を数学的に厳密に評価する定式化に基づき,解の存在検証条件を有限操作(計算機演算)の問題に帰着させた.さらに,前年度の成果によって得られた有限要素近似解の周りで解析的な解の存在検証条件を満足するアルゴリズムを構成し,あわせて検証アルゴリズムの高速化,並列化の検討を行なった. 2. 具体的な問題に対する計算機実験を行い,その原理的有効性を確認した.あわせて, Navier-Stokesの数値解を入力することによって,その近傍にもとの方程式の厳密解の存在を数学的に計算機内で立証するとともに,数値解の誤差限界を与える数値計算ライブラリのプロトタイプを作成した.また,近似解の形状および行列の固有値の分布や近似解の存在範囲の表示など,数値のみでは直観的に把握しにくい情報の可視化についても検討した. 3. 今後の研究の展開としては,強度の非線形性のため解析的取り扱いが著しく困難であることが知られている高レイノルズ数の問題,解の複雑な分岐をともなう熱対流問題に対する精度保証付き数値計算を行ない,厳密解・分岐点の存在検証を理論面から,また,アルゴリズムの効率化・並列化を実用面から追求し,汎用性を持つ数値計算ライブラリを開発することを計画している.
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