研究概要 |
本研究の目的は,図を文書と相補的なメディアとして積極的に活用し,人間の知的活動を支援することである.本年度は,前年度に引続き,より詳細な調査とシステム構築を行った.まず,文章内に含まれる知識と図形との詳細な対応関係について,調査・考察を行った.すなわち,何を,どのように図形化(視覚化)すべきかを,より詳細に検討した.また,実際の例において,文章からそれらの構造を取り出し,図形化(視覚化)の有効性について確認した. 得られた結果は,以下の通りである. ●文車内・文脈の意味構造を分類した結果,図化することが有効な概念として,因果・展開・推移・同値・階層・並列・対比・問答・補足・修飾,等があることがわかった. ●また,上記の関係は,推移律・対称律・反対称律・分配律・ベキ等律等の基本的な関係を満たすかどうかによって,より単純な関係,すなわち,順序・包含・同値,の関係に還元できること,また,これらの3つの関係にいくつかのパラメータを与えたものとして考えることができることがわかった. ●上記の構造を図形化(視覚化)するために必要な描画ルールについて検討した.それには,意味的構造と図形の空間的・属性的関係の対応等が含まれる。例えば,順序関係を表す構造ならば同一軸上に等間隔で配置するなどである. ●図形化(視覚化)した構造の編集についてて必要なルールの検討とその実装を行った.例えば,要素が整列すべき構造であれば,要素の一つを移動させるとその他の要素もそれに従って移動する等の手続きである. ●現在,上記のルールや手続きを実装したシステムを構築しており.プロトタイプシステムが動作している.それにより,上記で得られた知見が,実際に有効であることを確認した.今後も引続き,システム開発を行う予定である.
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