研究概要 |
昨年度に引き続き,まず,視覚的な注意配分を測定するための実験環境を整備した.具体的には,眼球運動測定装置の購入とその調整,そして測定した記録と分析を行なうシステムの開発を行った.それと並行して,実際の作業場や町中などの作業場面・生活場面で利用される物体シーンや案内表示などのシーン写真を収集し,それらを抽象化した3次元モデルCG画像を作成した. 視覚能力と作業との関連について,人間工学での基礎的な事実について調べ人間工学の百科事典に執筆した.作業環境と認知的な特性,シーンに対する注意がどのように移動していくか,高齢化の影響,疲労の影響,中心視と周辺視の視力,安全のための具体的な改善などについて述べた. Ishihara,K and Ishihara,S.,Visual Processing,Industrial and Occupational Ergonomics:User's Encyclopedia,(ISBN 0-9654506-0-0),出版はInternational Journal of Industrial Engineering. 内容はparallel processing,serial processing,scanning strategines,peripheral and central vision,focal vision and acuity,distortion,sensitivity and adaptation,eye movements,combined movements of eye and head,effects of vibration,visual fatigueの節からなる. さらに,昨年度実施した,高齢者の視覚認識と対象の色についての関係を調べる実験の結果から,高齢者の色知覚に関するCGモデルを開発して,認識の困難な表示部分を示すシミュレーションを行った.これは,加齢に伴う水晶体の黄変化による色の誤認,すなわち,異なる色でも同じように.見えてしまう現象に基づくもので,昨年度行った被験者の誤認データから開発したものである.この結果を国際会議で発表し,その会議の推薦を受けて学術雑誌International Journal of Ergonomicsに掲載するため投稿中である.
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