本研究では、多重型部分空間法を提案し、個性的な字に対しても認識可能な高精度手書き文字認識アルゴリズムを開発する。 当初の研究計画・方法に従って研究を進めた結果、以下の成果が得られた。 1. 平成9年度に作成された標準パターンを用いて、部分空間の多重化を行う認識プログラムを開発した。認識の際には、未知入力を字種ごとに用意される複数個の標準パターンと照合させ、最も一致するものとの距離を該当字種との距離として定義する。この場合、字種ごとの標準パターン数は大変重要な問題となるが、ここでは、標準パターン数の学習による動的削減方式を開発し、問題の解決を図った。具体的には、まず、認識システムの初期状態において字種ごとに準備されたすべての標準パターンを配置する。そして、学習サンプルを用いて学習を行い、字種間の距離をもとに標準パターンの統廃合を行い字種ごとの最適な標準パターン数を決定した。 2. 文字のスキャナ入力から結果出力までのプログラムを開発し、システムのプロトタイプをワークステーション上に実装した。最終的にワークステーションとスキャナというシンプルな構成で不特定筆者が書いた手書き文字を99%以上認識できる認識システムのプロトタイプを構築した。また、上記開発のシステムを郵便あて名認識システムにも適用し、高精度で実用的なシステムを作成した。 3. 研究成果を国内外に公表を行った。
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