研究概要 |
1993年にCabralらによって提案されたLine Integral Convolution(LIC)法は,ホワイトノイズ画像を流れの方向に沿ってぼやけさせることによって流れを表現する.大域的な流れの様子や複雑な渦の可視化ができるといった利点が注目され,多くの拡張が報告されている.本研究において、平成9年度はこのLIC法を非構造格子で表されている3次元物体表面での流れを可視化できるように拡張した.非構造格子LIC法は,3次元のソリッドノイズを入力とし,視点と出力画像の各ピクセルとを通る直線と物体との交点を求め,その点から物体表面に沿って流線を算出し,ソリッドノイズを流線上に定義されているローパスフィルタと畳み込むことで出力画像を生成する.このようにソリッドテクスチャリング技法を用いるため,テクスチャマッピングなどのグラフィックスハードが直接利用できず,表示速度が遅いという欠点も持っていた.平成10年度はこの非構造格子LIC法の高速化を行った.物体と視線との交点の算出はハードウェアZバッファリング機能を利用し,流線および畳み込み計算はStallingらによって提案された高速2次元LIC法を3次元に拡張することにより非構造格子LIC法の処理速度を劇的に早めることに成功した.また,テクスチャマッピングを利用した3次元構造格子のための高速3次元LIC法がFossellらによって提案されている.しかし,この手法では,格子の密度が場所によって極度に異なる場合,3次元曲面にマッピングされたテクスチャに歪みが起きることがある.平成10年度は,このような歪みを補正する新たな手法も提案した.
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