研究概要 |
本年度は,公平分割(ケーキ分割)モデルに重点を置いて、紛争解決の研究を進んできた。このモデルでは、n人(プレーヤー)が一個のケーキを比率〈α_1,…,α_n〉で分割する。各プレーヤーはこのケーキの各部分に関する好みが異なるかもしれない。その好みは個人情報であり、他の人には知られていない。問題は、このケーキをどの手順で分割したら、各人とも自分の好みで満足できるか。ただし、手順には個人情報としての各プレーヤーの好みを利用することはできない。なお、比率〈α_1,…,α_n〉の決定は今まで研究してきた仲裁方法に関係する。 ●まずは、今までの公平分割とその手順に関する研究の成果とその問題点もまとめて、論文「公平分割とその手順」を書いて、応用数理学会の学会誌「応用数理」に掲載された。 ●次は、現実問題への適用の観点から、近似公平を保証する分割手順の開発を行った。その結果は論文“Approximate envy-free algorithms"として、国際会議Game Pratice Iで発表した。これからその論文を修正して、雑誌か論文集へ投稿する予定である。 ●1997年の実績報告書に報告した論文「Mark-choose-cut algorithms for fair and strongly fair division」が1999年に出版された。 ●1997年の実績報告書に報告した論文「初等的フローゲームの凸性について」は電子情報通信学会論文誌D-IのJ81-D-I,No.6に掲載された。 なお、地域間の紛争を解決するため、全国の租税政策により地域人口の移動を分析した。その結果は論文「投資家と住民の移動モデル」として日本経済学会で発表した。これからその論文を修正して、雑誌へ投稿する予定である。
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