研究課題/領域番号 |
09780449
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
エネルギー学一般・原子力学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩井 岳夫 東京大学, 原子力研究総合センター, 助手 (30272529)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 二重イオンビーム照射 / 超微小押し込み試験 / 照射硬化 / 空孔型欠陥 / 陽電子ビーム / 鉄合金 |
研究概要 |
本年度は9年度に引き続き、陽電子ビーム測定装置製作を進め、これを完了し、この装置を主に用いて研究を行った。陽電子ビーム測定装置は照射(特にイオン照射)によって生成した空孔型欠陥を検出するのに有効な装置である。数ミクロン〜数十ミクロン程度のイオン飛程は最大30keV程度の低速陽電子ビームと整合性がよく、その利用価値は高い。陽電子線源は185MBqの^<22>Na密封線源で、タングステン箔で減速された後50Vのバイアス電圧をかけたグリッドメッシュで陽電子を引き出し、線源部の外にあるソレノイドの磁場によって集束させ、ビームトランスポートヘ導く。ビームトランスポートは2本の90度曲げ管と2本の直管から成り、いずれも5重に巻いた銅線で陽電子輸送用の磁場を作り出す。チャンバーの直前に加速管を置き、それより上流側は電位的に浮いた状態になっており、この部分が最大+30kVまで昇圧され加速電圧を与える。加速管からベローズ、ゲートバルブを経て試料にたどり着くまでは外部のソレノイドで磁場が与えられ、ビームの集束が保たれる。10年度早々にドップラー拡がりの測定を可能にし、照射したFe-Cu合金の焼鈍実験を行い、イオン照射によって生成した空孔型欠陥の回復挙動と、硬さの回復過程との相関を調べた。この結果では空孔型欠陥の回復段階と硬さの回復段階の温度が一致せず、空孔型欠陥の照射硬化への寄与が大きくないことが示唆された。 その焼鈍実験の後、陽電子ビーム測定装置をイオン加速器のビームラインとつなげ、イオンビーム照射下陽電子ビーム測定装置を製作した。この装置はいわば「イオン-陽電子二重ビーム照射実験」を行うための装置であり、イオン照射によって生成した空孔型欠陥を「その場」で陽電子によって検出する装置である。試運転も順調に完了し、今後この装置を用いてユニークな実験が可能になった。
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