研究概要 |
クローズドサイクルMHD発電の実用化には、高いエンタルピー抽出率と高い断熱効率を同時に達成する必要がある。最近の理論的な考察により、高い断熱効率を達成するには、小さな断面積比を有する発電流路で高いエンタルピー抽出率を達成する必要があることが指摘されている。これを受けて、本研究では、小さな断面積比を有するディスク形発電機を制作し、実験を行い、平成9年度にはエンタルピー抽出率28.8%、断熱効率50,8%を達成した。 本年度はこれらの実験的知見を元に、発電流路の改造を行った。1)発電機のスロートと出口の断面積比は変更しない、2)境界層の影響、摩擦損失の影響を相対的に小さくできるように、チャネル高さを大きくする、の2点を指針として、発電機形状の改造を行った。また、さらに断面積比を縮小させる可能性を探るために、発電機入り口マッハ数をこれまでの2.6から2.4に変更した。 入り口マッハ数を小さくしたために、発電機入り口から高い電気伝導度を持ったプラズマを発生させるためには、圧力を低くし、かつ、作動流体に添加するアルカリ金属(シード)を増やす必要があることがわかった。発電機高さを大きくしたために、外部回路から発電機内を見たときの抵抗が相対的に減少し、これまでの発電機と同じ負荷率を得るには、外部負荷抵抗の値を小さくする必要がある。以上のような方法で、プラズマと外部回路のマッチングを取ることにより、発電機入り口マッハ数を下げているにもかかわらず、エンタルピー抽出率25.6%、断熱効率49.0%とほぼ同程度の性能を得ることができた。また、流路高さを大きくしたことにより、同じエンタルピー抽出率に対して、高い断熱効率が得られた。
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