研究概要 |
平成10年度の結果を以下にまとめる。 直線型ダイバータプラズマ模擬試験装置において,非接触プラズマに熱パルスを印加し,非接触プラズマの動的応答を調べた. (1) 直流放電電流を変調することにより熱パルスを生成し、非接触ヘリウムプラズマへ導入を可能にした. (2) 非接触プラズマ中の中性ヘリウム原子の各励起準位からの可視発光スペクトルの時間発展を計測したところ,熱パルス印加時には低励起準位(量子単位n〜3、4)からの発光強度は増加するのに対して,高励起準位からの発光強度は減少することが実験的に観測された. (3) 衝突輻射モデル(CHAMD code)による解析結果との比較により、観測された発光スペクトルの時間変化はバルクの電子温度の変化では説明することが出来ず,高エネルギー電子の存在を仮定することにより統二的に説明可能なことが分かった.また高エネルギー電子の密度はバルク電子密度の約0.5%程度であることが明らかになった. (4) 熱パルス消失後、急激な3体再結合過程の増加が観測された.この実験結果により、熱パルス印加中において,3体再結合によって生成される高励起状態の原子が、高エネルギー電子の衝突により容易に電離することにより,実効的に再結合過程が弱められていることが明らかになった.
|