研究概要 |
昨年度に引き続き木更津周辺と館山周辺で水サンプルを採取し,分析を進めたが,事情により健康調査は実施に至らず,今後実施する予定である。昨年度ギデラ族のモデルを一般化したが,死亡モデルをより現実に近づけるための改良を行い,またアルゴリズムの改良によってシミュレーション速度を向上させることに成功した。すなわち,死亡モデルについては,従来年齢別死亡ハザードのみを考慮する単純な加速モデルであったが,GAVRILOV and GAVRILOVA(1991)の雪崩モデルを応用して,個人レベルの機会的な故障蓄積に応じて死亡への雪崩がある確率で起こるという形に変更した。この確率が環境依存で変化するように設定することによって,これまで困難であった環境モデルの人口モデルへのダイナミックな結合に成功した。 Alphaチップを使ったコンピュータで高速にシミュレーションを行うためのシステム設定は完了し,いくつかの条件についてシミュレーションを行ったが,検討すべき条件が多岐にわたるため,今のところ新しいモデルを東京湾周辺の人口に適用するには至っていない。この予定の遅れは,高速なシミュレーションのための技術そのものが一般的でないため,ソフトウェア面で独自の開発を行う必要があったためであり,今後条件検討を完了次第,実データの適用を行う予定である。
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