研究課題/領域番号 |
09780492
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 光次 名古屋大学, 大気水圏化学研究所, 助手 (40283452)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 紫外線 / 植物プランクトン / 基礎生産 / Chatoceros / Nitzschia / Phaeocystis / 光合成系II / Fv / Fm / 基礎生産力 / 大西洋 |
研究概要 |
今年度は、南極産の中心目珪藻Chatoceros dichaeta、羽状目珪藻Nitzscha sp.、プリムネシオ藻Phaeocysris sp.のバッチ培養株に白色光線(PAR)及び紫外線(UVA+UVB)を人工的に照射し、各株の光合成系IIの光化学反応の量子収率(F_v/F_m)、有効光吸収断面(σ_<psu>)、第一電子受容体(Q_A^-)の酸化時定数(τQ_A^-)に対する紫外線の影響をFast Repetition Rate Fluorometer(FRRF)を用いて調査した。その際、全光エネルギーが約25W/m^2になるように、UVB/PAR比を0.01%、0.25%、2.94%と変化させて、3つの光環境を設定した(以後、それぞれの光環境を順にL1、L2、L3と呼ぶ)。全ての株において、UVB/PAR比のF_v/F_m、σ_<PSll>、τQ_A^-値をLlのそれぞれの値と比較した結果、これらの間に統計的な有意差は認められなかった。この事は、L2ではこれら株の光合成系IIの反応中心に対してUVBの影響がなかったことを示唆している。しかしながら、L3では、全ての株において、光化学変換効率の指標であるF F mが、LlやL2のそれと比べて、明らかに低下した。また、同様に、L3のτQ_A^-はLlやL2のそれと比較して大きくなった事から、L3では光合成系2と系1間の電子伝達効率が低下したことを示唆している。これらの事から、L3では全ての株の光合成系IIの反応中心がUVBにより損傷を受けたと考えられる。LlやL2において、Phaeocystis sp.のF F mはNitzschiasp.のそれと同程度であったが、L3ではNitzschia sp.のF F m?がPhaeocystis sp.のそれに比べて大きく低下した。このような植物プランクトンのUVBに対する耐性の差は、今後、地上に到達するUVBが増加した場合、植物プランクトン群集構造の変化、延いては海洋の食物連鎖や物質循環の構造を変える事に繋がるかもしれない。この実験の他にも、紫外線照射による生化学物質の合成速度を調べる実験を同時に行い、現在、試料を分析中である。以上をまとめて、投稿論文を早急に作成する予定である。
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