研究課題/領域番号 |
09780496
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
志村 紀子 理科大, 薬学部, 助手 (60287480)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 低線量γ線照射 / ラジカル消去能 / 抗酸化系酵素活性 / 放射線ホルミシス効果 |
研究概要 |
<1>低線量γ線照射による各種臓器の抗酸化能の変化を化学的ラジカル、1,1-Diphenyl-2-picryl-hydrazyl(DPPH)還元法にて検討したところ、マウスに50cGyのγ線を1回照射するとまもなく、肝臓、膵臓、脳でラジカル消去能が上昇し、24時間後まで持続することが確認された。消去能の高かった肝臓について線量によるラジカル消去能の変化について調べたところ、25cGyから50cGyの間で有意に上昇し、200cGyで有意に低下した。 <2>低線量γ線照射による各種臓器抗酸化系酵素活性の変化について、抗酸化系酵素としてスーパーオキシドデスムターゼ(SOD)、カタラーゼ(CAT)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)、及びグルタチオンレダクターゼ(GR)について測定した。肝臓について調べたところ、Cu/Zn-SODの活性は照射後3時間後に有意に上昇したが、Mn-SOD活性はγ線照射により誘導されなかった。CAT活性については、照射後12時間後に有意に上昇した。また、GPX、GR共に照射後3時間から活性が上昇し始め、12時間でピークに達し、24時間までにはコントロールのレベルにまで下がった。 <3>内因性抗酸化物質とし、グルタチオンについて低線量γ線照射によるその変化について定量したところ、マウスに50cGyのγ線を1回照射するとまもなくグルタチオンの量が上昇し始め、12時間後にピークに達し、その後24時間後にはコントロールのレベルにまで下がった。 以上の結果から、本研究において放射線ホルミシス効果の科学的根拠の一部が得られたと考えられる。今後は関連酵素誘導をさらに遺伝子レベルで確認する必要があると考えられるが、活性酸素種関連の病態に対する予防・治療に対する低線量γ線照射の応用が期待される。
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