研究概要 |
高速列車がトンネルに突入する際,トンネル内の空気を圧縮し圧縮進行波を生ずる。その進行波はトンネル内を音速で伝わるにつれ,先端の圧力勾配が切り立ち,出口に到達すると正のインパルス音(微気圧波)となって騒音となる。列車速度230[km/h]の測定では坑口間近ではピーク値で150[Pa]以上になる。この消音装置及び制御方法の開発のための基礎的な研究を行った。 微気圧波のピーク音圧レベルは圧縮進行波の圧力勾配に比例する。このことに着目し,圧縮進行波の圧力勾配を制御し微気圧波を消音する。この方法は装置が非常に小型で済むことが特徴で実現の可能性が高い。圧カセンサで進行波を測定し,その波形から圧力タンクに取り付けたバルブを制御し,トンネル出口付近で緩やかな圧力勾配を付加し消音する。実験はφ150[mm],長さ120[m]のトンネル模型で行い,開口面積80[cm^2]のサーボバルブを2台開発・使用した。一台は圧縮進行波発生用,もう一台は圧力勾配制御用である。従来のシステムでのソフトウェア開発が困難になり,圧力勾配制御用のバルブ制御と波形測定に関して,ハード・ソフト共にWindows環境に移行した。消音バルブの制御のために,上流で測定した圧縮進行波波形から,制御ポイントでの波形を正確に予測することが可能かどうかの検証を行った。制御ポイントの波形から微気圧波のピーク値を正確に予測できることも示した。消音用バルブを動作させるソフトウェアを開発し,消音用波形を発生させ試験を行った結果,消音原理を実現するために必要な性能を有することが確認できた。その性能は実際の新幹線トンネルにそのまま応用する場合,タンク圧力を10倍という条件で,10台程度用意すれば消音できることになる。その他,山梨リニア実験線で問題となったトンネル坑口からの低周波騒音についても原因調査を行った。
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