研究課題/領域番号 |
09780529
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物有機科学
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
兒玉 浩明 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (80205418)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | アラメチシン / Aib / CDスペクトル / 高次構造 / イオンチャンネル / 疎水相互作用 / 固相ペプチド合成 |
研究概要 |
高いイオン選択制を持つイオンチャンネルペプチドの開発をめざし、カリウムチャンネルタンパク質のイオン選択機構の1つと考えられている、カチオン-パイ相互作用に基づくカリウム選択的ペプタイボールイオンチャンネルの構築を行った。今回、イオンチャンネルのカリウム選択制の相関を明らかにする目的で、Ac-(Aib-Lys-Aib-Ala)_5-NH_2(BKBA-5)の構造機能相関の詳細を検討した。合成は、Fmoc基を用いた固相法で行った。アナログの構造は、飛行時間型質量分析機とアミノ酸分析で確認した。 円偏光二色性スペクトルを用いた構造解析により、今回のモデルペプチドは、水溶液中、有機溶媒中、リン脂質膜中で安定なヘリックス構造を形成することが明らかになった。また、長鎖のモデルペプチドはペプチドの濃度依存的に安定な2次構造を引き起こし、2つの分子が会合して形成するヘリックス会合体(2量体)構造を形成していることが示された。さらにBKBA-20は、グラム陽性菌に対し抗菌活性を発現した.この活性は、既知のペプチド性抗生物質の中でも最も高いレベルにあることが確認された.これらのことから、BKBA-20は、生体膜を選択し、相互作用して、ある特定の構造を形成することが示唆された. リン脂質膜上のモデルペプチドの機能評価は、パッチクランプ法により行った。今回のモデルペプチドは、低濃度、低電圧でジフィタノイルフォスファチジルコリン膜中にイオン透過性のポアを形成し、その作用は鎖長依存的でった。詳細なチャンネル解析により、BKBA-20の形成するポアは、4本のペプチドからなる単一の会合体によることが明らかになった。また、このチャンネルが開く時間はペプチドの濃度が増加するにつれて長くなり、チャンネルの開確率とペプチド濃度との間に相関が見られた。このことから、このチャンネルの開閉は脂質膜中に分配されたペプチド分子の会合、脱離の平衡関係より引き起されていることが示唆された。今回のように、単一の開閉パターンで、高頻度かつ長時間観測される例は、他のペプチド性チャンネルと比較しても数少ない事例の一つであると言える。さらに置換ペプチドとの比較実験により、Aib残基とリジン残基がヘリックス構造、会合体構造及びチャンネル構造の安定化に寄与していることが示唆された。
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