研究概要 |
研究者は今まで、有害プランクトンである渦鞭毛藻Gambierdiscus toxicusが内因性増殖促進因子を生産していること、およびG.toxicusの生産するポリエーテル化合物のガンビエル酸がG.toxicus自身の内因性増殖促進因子であることを報告した。その後の研究でハワイ、オアフ島ワイアナエ地区で多種類の大型海藻が繁茂しているにも関わらず、付着性生物であるG.toxicusは、緑藻Bryopsis sp.上に集中して生育していることが明らかとなった。そこでG.toxicusとBryopsis sp.の間に何らかの化学物質が介在している可能性が考えられた。Bryopsis sp.抽出物をケイ酸力ラムで分画後、各フラクションのG.toxicusに対する生理作用を調べた結果、 G.toxicusに対して脱皮を引き起こす画分、遊泳を惹起させる画分が存在した。単離精製、構造解析を行った結果、脱皮を引き起こす活性物質は硫酸糖脂質であることが明らかとなった(平成10年度水産学会春季大会で発表済み)。また遊泳惹起物質については追求を続けている。またそのほかのBryopsis sp.中の成分検索を行った結果、既知の環状デプシペプチド、kahalalideA,B,Gの存在を確認した。さらに新規な環状デプシペプチドであるkahalalide Kを単離し、その構造決定に成功した(投稿中)。 さらに、ロットの異なるBryopsis sp.から6個の新規な環状ペプチド類を単離し現在その構造決定中である。
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