研究課題/領域番号 |
09780559
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
東郷 暁 東北大学, 医学部, 助手 (40282123)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | cyclic ADP-ribose / second messenger / CD38 / ADP-ribosyl cyclase / cyclic ADP-ribose hydrolase |
研究概要 |
cyclic ADP-ribose(cADPR)は申請者らがインスリン分泌のセンカンドメッセンジャーとして新しく見出した細胞内情報伝達物質である。申請者らはまた、cADPRの合成・分解酵素の実体はCD38であり、CD38のcADPR分解酵素活性はATPによって抑制されることを明らかにしている。従って、cADPR合成・分解の調節機構を分子レベルで理解するためには、cADPR合成・分解酵素の基質(NAD、cADPR)と調節因子(ATP)の結合部位を同定することが重要であると考えられる。平成10年度の研究は当初計画どおり進行し、以下のような成果が得られた。 平成9年度にはNAD、cADPR、ATPに共通するadenosine部分の類似体である5'-p-fluorosufonyl-benzoyladenosine(FSBA)で標識したCD38のエンドペプチダーゼ消化断片から、FSBA-ペプチド断片を同定した。そこで、 1.同定したペプチド断片のアミノ酸配列をペプチド-クエンサーを用いて決定したところ、CD38の129番目のリジン(Lys129)がFSBA結合部位であることが明らかとなった。 2.Lys129をアラニンまたはアルギニンに変異させたCD38を精製した。抗FSBA抗体を用いたウェスタン法の結果、これらの変異CD38はFSBAと結合しないことが明らかとなった。 3.ゲル濾過カラムを用いてCD38のcADPRとの結合活性の検討を行ったところ、これらの変異CD38はcADPRと結合しないことが明らかとなった。 4.酵素学的な検討を行なったところ、これら変異型CD38はcADPR分解活性を消失したが、NADを基質とするcADPR合成活性は保持されていた。 従って、Lys129がcADPRとATPの共通の結合部位であることから、ATPがLys129でcADPRと競合的に作用することによりCD38のcADPR分解活性を抑制すると考えられた。
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