研究概要 |
液胞は高等植物の細胞体積の90%以上を占める大きな細胞内コンパートメントを形成し,各種代謝産物の貯蔵と区画化に機能する.さらに,液胞は生体高分子の分解コンパートメントであり,動物細胞のリソソームと相同な細胞内小器官である. 先に同定した出芽酵母のVam3pは,液胞膜のシンタクシン分子であり,一方,Pep12pはプレ液胞コンパートメントのシンタクシンであることが示された.酵母での分子細胞生物学的解析の結果,これらの二つの分子は,それぞれ,液胞形成に必須ではあるが,両者の機能は直列的では.なく,並列的な経路を構成していることを明らかにした.出芽酵母で得られている知見が,ひろく高等真核細胞に適用できるが否かを検討し,さらに高等生物のオルガネラ構築を分子レベルで理解する目的で,酵母で発現できるマウスcDNAライブラリーを新規に構築し,マウスsyntaxin-7,syntaxin-12を見いだした.CDNAの構造決定より,両者は酵母Vam3pと相同性を有するtypeII膜タンパク質をコードすることが示唆された.大腸菌発現系を用いて融合タンパク質を作成し,抗原とすることにより特異的抗体を得た.
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