研究概要 |
先天性ペルオキシソーム欠損症には症状の重篤度の異なる3つの病型が存在する。軽症型患者皮膚線維芽細胞を30℃で培養するとペルオキシソームが形成されることを見いだし、温度感受性(ts)の原因と考えられるPEX2のts変異(E55K)を同定した。ペルオキシソーム形成過程を解析するために、PEX2欠損CHO細胞(Z65)にts変異PEX2を導入したステーブルトランスフォーマントを単離し、ts性を示すクローンを単離した。 CHO細胞由来のペルオキシソーム欠損変異株を用いた一過性発現系を利用したスクリーニングにより、ヒトPEX12、PEX1を単離し、患者の変異を同定した。 ペルオキシソーム移行シグナルを付加した、GFP(Green Fluorescent Protein)の発現ベクターをペルオキシソーム欠損CHO変異細胞(Z65,ZP92,ZP102)で発現させたところ、これらのGFP融合タンパク質はいずれも核を含む細胞全体に分散した。これらの変異細胞を用いて、各相補遺伝子(PEX2,6,5)を導入した際のペルオキシソーム形成過程の検討を行った。生細胞の連続観察では、各変異細胞間で形成時間に多少の差は見られたが、基本的にマイクロインジェクションでの相補遺伝子導入後、数時間でペルオキシソームの形成が認められた。-方、固定細胞を用いた高解像度顕微鏡を用いた詳細な観察により、ZP92細胞には数個のCFP‐SKLの点状構造物が観察された。ペルオキシソーム膜タンパク質に対する抗体との2重染色により、ペルオキシソーム膜タンパク質を含むいわゆるゴ-ストとこの点状構造物とは近接しているが一致はしていないことがわかった。
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