レチノイン酸の肢芽形態形成への関わりを調べる目的で、肢芽の基部先端部軸方向へのレチノイン酸の作用を調べ、発表した。この研究は本年度だけでなく数年前から続けたきた仕事であるが、今年度にもいくつかの実験を加え最終的に発表に至ることができた。また、同様に四肢形態形成の分子メカニズムの解析のひとつとしてshh遺伝子のカエル肢芽での発現の実験をまとめ、発表した。 四肢形態形成におけるレチノイン酸作用の分子メカニズムを探る上で、レチノイン酸によって発現調節を受ける遺伝子をいくつか単離してきたが、今年度の研究でその一つの全長のクローニングに成功し、それがある種の細胞増殖因子である(らしい)ことを突き止めた。すなわち、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のファミリーのひとつであることがわかり、レチノイン酸で誘導されることから、RIGF(retinoic acid-induced growth factor)と名付けた。このVEGFファミリーの形態形成への関与を示唆するデータはこれが最初であり、注目に値する。また、さまざまな微細操作によりそのRIGF遺伝子の発現変化を追い、RIGF遺伝子とレチノイン酸の関係や肢芽形態形成への関わりを調べた。現在、論文投稿中である。
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