研究課題/領域番号 |
09780684
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
畠山 正統 神戸大学, 理学部, 助手 (50281142)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 顕微授精 / ICSI / 受精 / 精細胞 / キメラ / 膜翅目昆虫 |
研究概要 |
1カブラハバチ(Athalia rosae、広腰亜目)は昆虫で唯一、顕微授精法(ICSI 法)により、体外人工授精が行える実験系である。この特長を利用して、精巣中の精子形成過程のさまざまなステージにある生殖細胞(精細胞)を成熟未受精卵に注入し、これらの生殖細胞の授精能と発生参加能について調べた。円形精細胞および尾部伸長中の精細胞(elongating spermatid)を注入した場合、これらの精細胞は卵核とは融合せず、単独で独立に発生に参加して、半数体雄キメラ個体が生じた。マーカー突然変異を用いて子孫検定を行うことにより、これらのキメラ雄個体の生殖細胞は卵核由来、精細胞核由来の両方からなっていることがわかった。一方、精巣内の未成熟精子(elonsated spermatid)を用いると受精個体が得られたが、半数体雄キメラ個体は得られなかった。これらの結果から、昆虫(カブラハバチ)の精細胞には発生参加能があり、卵核と独立に発生に参加するか、受精するかは、精子形成過程の段階に依存していることが示された。 2精子あるいは精細胞の発生参加に関与する卵細胞質内因子の昆虫間での共通性を調べるために、近縁異種の精細胞を注入した。用いた異種の成熟精子は顕微受精によって胚発生初期まで生存できる雑種を形成する。異種の精細胞を注入すると種間キメラ個体が得られ、雑種 個体は得られなかった。これらのキメラ個体は胚発生は完了するが析化には至らなかった。 3カブラハバチの未成熟卵巣を近縁異種に移植し、別種の卵黄蛋白質のみで成熟した卵を得て、これらに凍結保存精子を顕微注入した。その結果、通常の顕微授精の場合と同様に受精個体が得られ、昆虫における系統保存に応用できる人工生殖の可能性が示された。
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