研究課題/領域番号 |
09780692
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 理化学研究所 (1998) 慶応義塾大学 (1997) |
研究代表者 |
菊池 裕 理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, 研究員 (20286438)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | Zebrafish / LIM / Homeodomain Protein / Islet-3 / Eye development / Two-Hybrid System |
研究概要 |
LIM/ホメオドメイン蛋白は、zinc-finger様構造をしたLIMドメインとホメオドメインという2つの特徴あるドメインを有している。LIM/ホメオドメイン蛋白のin vitroでの機能解析の結果、LIMドメインはホメオドメインのDNAへの結合能を阻害するという実験結果が得られている。そのため、LIM/ホメオドメイン蛋白が活性化する時は、別の共役因子が発現し、これがLIMドメインと結合することによって、LIMドメインのホメオドメインへの阻害効果が解除されるというモデルが提唱されている。私はこのモデルに従い、ゼブラフィッシュ胚の中枢神経系で眼と視蓋に特異的に発現しているIslet-3のLIMドメインのみを過剰発現させ、内因性Islet-3の細胞内の共役因子を吸収することにより、Islet-3の機能を特異的に阻害する実験を行なった。その結果、眼胞・中脳後脳境界部(小脳原基)が完全に形成されず、Islet-3は、眼胞・中脳後脳境界部の形成において直接・間接的に重要な役割を持つことが明らかになった。 私は、眼胞・中脳後脳境界部の形成におけるIslet-3の機能を明確にすることを目的に、Islet-3のLIMドメインに特異的に結合する共役因子の探索を行った。蛋白質間相互作用を用いた遺伝子スクリーニング法としては酵母を用いたyeast two-hybrid法、または発現ファージライブラリーを用いたfar-westem法などが知られている。two-hybridsystemでは、酵母内のタンパクとIslet-3のLIMドメインが相互作用してしまうことから、この系でのスクリーニングは困難であることが明らかとなった。far-westernは、Islet-3のLIMドメインとGSTとの融合蛋白をプローブとして用い、ゼブラフィッシュ22〜26時間胚発現cDNAライブラリー120万クローンに対してスクリーニングを行った。その結果、Islet-3のLIMドメインと特異的に相互作用する核タンパクとしてLANP(Leucine rich Acidic Neuclear Protein)が得られた。この核タンパクは、ラットに於いて生後小脳プルキンエ細胞で発現し、小脳の発生・回路形成などが進むにつれて発現が上昇することが報告されている。現在、中脳後脳境界部の形成におけるIslet-3・LANP複合体の役割を明らかにするため、解析を行っている段階である。 さらに私は、Islet-3のLIMドメインを過剰発現させた胚では眼胞が全く形成されないことから、この胚における眼胞の形成に関わる遺伝子の発現をin situ hybridizationにより調べた。その結果、ホメオドメインを持つ転写制御因子であるRx,Six3の発現が、眼胞予定領域に於いて特異的に減少していることが明らかになった。現在、眼胞へ運命転換できなかった細胞の挙動について、発生段階ごとに観察を行っている。
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