研究概要 |
オピオイド受容体とアミノ酸配列相同性を有するGPR7、8の二つの分子は、オピオイド受容体と同様の重要な生理的機能を担っている可能性があるにもかかわらず、現在までほとんど解析がなされていない。本研究はGPR7、8の薬理学的特性を明らかにすることを目的とし、アフリカツメガエル卵母細胞蛋白質発現系および動物培養細胞発現系を用いて解析を行った。まずGPR7、8のCDNAをPCRを用いてクローニングし、アフリカツメガエル卵母細胞蛋白質発現系で効率的に蛋白質が発現するpSP35Tベクターに組み入れた。それぞれのベクターを鋳型として用いてGPR7,8特異的メッセンジャーRNAを生体外で合成し、アフリカツメガエル卵母細胞に注入した。このとき、オピオイド受容体と共役することが知られているG蛋白質活性型内向き整流性カリウムチャネル(GIRK)のメッセンジャーRNAを同時に注入した。これらの卵母細胞に対する各種のオピオイドリガンドの効果を電気生理解析装置を用いて検討した結果、GPR7に関してはいくつかのリガンドにおいて小さいながらも内向き電流応答が得られた。このことは、GPR7がGIRKチャネルと共役する可能性を示唆しており、GPR7の細胞内情報伝達経路を初めて示すものである。次に、GPR7、8を蛍光蛋白質(EGFP)との融合蛋白質として発現するようにベクターを準備し、HEK細胞、COS細胞などの動物培養細胞に発現させた。いずれの融合蛋白質とも細胞膜近傍に局在することが明らかになり、GPR7,8が細胞膜上で機能することが示唆された。本研究でGPR7,8を安定発現する細胞系統の確立に成功したので、これらの細胞を使うことで今後さらにGPR7,8の薬理学的特性を明らかにできると考える。
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