研究課題/領域番号 |
09780764
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻本 哲宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40212055)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 蛋白燐酸化酵素 / G蛋白 / Ca^<2+>電流 / ホールセル・パッチ / シナプス終末 |
研究概要 |
生後9-17日齢のラット延髄をハロセン麻酔下で摘出し、厚さ150μMスライス標本を作製した。CCDカメラを装着した微分干渉型顕微鏡にてラット台形体内側核ニューロンを同定した。細胞体表面に形成される巨大シナプス(the Calyx of Held)にホールセルパッチ法を適用し、電位依存性Na^+電流、K^+電流は細胞外液にTTX1μM、TEA10mM添加することで抑制した条件下で前シナプスCa^<2+>電流(IpCa)を記録した。脱分極パルス(-10mV;1 ms)を200ms以下の間隔で2回与え、IpCaテール電流を誘発した。昨年度の成果で前シナプスCa電流の促進は細胞外からのカルシウム流入量に依存することが判明した。本年度の研究結果は以下の通りであった。(1) 蛋白質燐酸化酵素、脱燐酸化酵素阻害であるH7、KN-62、Calyculin-A、Deltamethrinを前シナプス内にホールセルにて導入しても、Ca電流の促進は抑制されなかったことから、少なくともこれら阻害剤に感受性のある蛋白燐酸化酵素・脱燐酸化酵素は関与しないと結論された。(2) 前シナプス内にGTPγSを導入するとIpCaの大きさは小さくなりrising phaseも遅くなった。しかしIpCaの促進にはなんの影響も認められなかった。GDP-βSを前シナプスに導入した場合は、IpCaの促進が増強される傾向が認められたが、実験例を増やしても統計的に有意に異なると結論できるまでには至っていない。この問題は、単一の前シナプスでコントロールとGDPβSの両条件での1pCaの促進を比較することでより厳密に比較できると期待される。一方、GDPβS存在下で100Hz・10秒の連発刺激をおこなったがIpCa電流の不活性化は消失したが、長時間(2秒)の脱分極によるIpCa電流の不活性化は認められたことから不活性過程に関与する可能性が示唆された。(3) ケージドCa緩衝試薬を用い、細胞内Ca濃度を瞬時に上昇させると一発目のIpCa電流が増加し、IpCaの促進は抑制された。しかしながらS/N比が小さいために、単一シナプスでの細胞内Ca濃度の測定を数十ミリ秒の精度で測定できておらず、定性的結論に留まった。
|