研究課題/領域番号 |
09780767
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
田村 了以 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (60227296)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | サル / 海馬体 / 学習 / 記憶 / 単一ニューロン活動 / アンサンブルコーディング / 行動 / 同期発火特性 |
研究概要 |
サル海馬体から複数の単一ニューロン活動を同時記録し、これらニューロン活動の学習・記憶に伴う変化を明らかにするため、本年度は昨年度開発した複数ニューロン活動の同時記録・解析法を用いて、実際にサルの海馬体からニューロン活動を同時記録し、ニューロンの応答性およびニューロン対間の機能的結合度の学習に伴う変化について解析した. 新たな弁別刺激対と行動(左または右方向への眼球運動)との連合学習を必要とする条件性連合課題遂行中のサル海馬体から、総数87個のニューロン活動を記録した.多くの記録セッションで、複数のニューロンを同時記録し、個々の単一ニューロン活動に分離することが可能であった.このうち、26個が行動課題の弁別刺激提示に対して活動性変化(応答)を示した(興奮応答、7個;抑制応答、18個:興奮-抑制応答、1個).しかし、この多く (17/26)では、刺激の行動的意味(眼球を動かすべき方向)や新奇度(既知刺激または新奇刺激)とは無関係に使用したいずれの弁別刺激に対しても同様に応答した.5個のニューロンは、刺激の行動的意味に対して識別応答を示した.また、7個のニューロンは、新奇刺激対に対して識別応答したが、このうち6個のニューロンでは学習成立後には識別応答が減弱した.現在、ニューロン対間の機能的結合度変化を推定するため、同時記録されたすべてのニューロン対に対して相互相関解析を行っている途中であるが、解析したニューロン対の約1/5では学習前後で相互相関ピークの有意の変化が見られている. 本研究により、サル海馬体には条件性連合課題の学習成立に伴い、弁別刺激に対する応答性の変化するニューロンやニューロン間の結合度が変化するニューロン対の存在することが明らかとなった.これらニューロン応答の変化やニューロン間結合度の変化は、学習・記憶の形成に重要な役割を果たしていると考えられる
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