研究概要 |
顎付き培養脳幹を作製し、薬剤刺激によって誘発される顎運動様相についてCCDカメラおよび開閉口筋の筋電図活動について検討したところ、興奮性アミノ酸のN-methyl-D,L-aspartate(NMA)(20-40μM)とGABA_Areceptor拮抗薬bicuculline methiodide(BIC)(5-10μM)を同時にチャンバー内に投与すると、下顎のリズミカルな上下運動が観察された。咬筋や顎二腹筋の収縮もカメラを通して観察できた。運動の活動周期はチャンバー内のNMAの濃度の上昇に伴って短縮する傾向がみられた。筋電図でも咬筋、顎二腹筋ともにNMA-BIC(NMA 40μM,BIC10μM)を投与した際にはリズミカルな筋電図活動が観察された。次にパッチクランプ法にて三叉神経運動核のニューロンの膜電位を観察したところNMA-BIC投与時にリズミカルな活動を記録することに成功した。この活動は末梢神経からの活動電位と一致することを確認した。また、NMAのみでも三叉神経運動ニューロンにリズミカルなEPSPが発生することが確認された。BICを加えると膜電位が上昇し、アクションポテンシャルが導かれることが明らかとなった。 さらにノルエピネフリンの効果を検討したところα1 adrenoreceptor agonistがリズム形成を促進し,α2 adrenoreceptorがその抑制に関与することが明らかとなった。セロトニンについても検討した結果5HT_2receptorがリズム促進に関与し、5HT_<1A>receptorが抑制に関与することも示唆された。しかし、開口筋と閉口筋の違いについてはいまだ明確ではない。
|