研究課題/領域番号 |
09835003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森島 真帆 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50204722)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | βアミロイド蛋白 / アルツハイマー病 / 低密度膜ドメイン / ELISA |
研究概要 |
1. 多数例の剖検脳をtwo-site ELISAと免疫組織化学的手法を用いて比較検討した結果、脳内では加齢に伴ってβアミロイド蛋白(Aβ)が急激に蓄積すること、その蓄積の程度は免疫組織学的に検出されるAβの蓄積(老人斑)の程度と非常に良く相関することがわかった。さらに、Aβの蓄積が免疫組織学的に検出されるよりも以前に、脳内にAβがたまってくることがELISAにより生化学的に検出できることが明らかになった。 2. Aβの性質をWestern blot法により調べていく過程で、現在用いているELISA系はSDS処理に安定なAβ二量体を認識しないことが明らかになった。そこで、ELISAによりAβが検出できない沈着の最初期段階と考えられる脳をWestem blot法で解析した結果、多数の例でAβ二量体のみが検出された。従って、脳内では非常に初期からAβの二量体が蓄積していると考えられ、これがAβの沈着に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 3. 初期沈着Aβの分子密度をセシウム密度勾配遠心法で調べたところ、その一部は脂質と同様の比重の軽い画分に分画された。しかし、電気泳動上の移動度、抗体の反応性、正常高齢者脳とアルツハイマー病脳での分布の比較などから、正常高齢者脳で初期に蓄積するAβは、Down症候群患者脳で報告されている脂質結合性Aβとは異なることが示唆された。 4. ヒト神経芽細胞を用いた解析から、Aβが正常細胞においても不溶性画分に存在し、そこにはSDS安定性の二量体と思われる分子種が見られることが明らかになった。また不溶性画分のAβの約半分は、カベオラ様の低密度の軽い膜両分に局在していた。そこで、同様のショ糖密度勾配遠心法を用いてヒト脳を解析することにより、ヒト脳においてもAβが低密度膜画分に局在することがわかった。 5. 今後は、この膜画分のAβと脳内でのAβ沈着との関わりを明らかにし、膜画分のAβと二量体との関係の検討、および二量体の蛋白化学的な解析を行う予定である。
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