研究概要 |
平成4年度科学研究費補助金(課題番号03650273)で製作した「うるささ」・「色相」騒音計を用いて,平成7年度科学研究費補助金(課題番号05680459)で調査した国内の代表的な地方において,地域,騒音源の種類,文化,年齢,性別等によらず,騒音による心理的影響の程度が共通の心理尺度で評価できることを明らかにした。引き続き,本研究では,最初に,騒音による心理的影響の発現と等価騒音レベルの関係から騒音評価指標を明らかにする。次に,安心できる生活空間を設計するために,騒音問題が深刻化している自動車騒音環境をシミュレーションし,実感的に体感できるシミュレータとそれによる騒音のうるささに対する心理的計量的評価感覚を育成・養成する教育のソフトを検討する。更に,無響室のような特殊な部屋を必要としない現場で視聴体感できるシミュレータを構築することを狙いとしている。主要な結果は以下の通りである。 1. 「心理的影響がある」と判断した被験者数の累積百分率が10%に対応する等価騒音レベル値は40dBであり,50%は49dB,および90%は58dBであること,国内で構成された9種類の騒音評価尺度の比較検討結果から,騒音による心理的影響の有無の境界に対応する等価騒音レベル値は,49dB前後であること,この49dBは,"% highly annoyed"曲線のおおむね10%に対応すること等がわかった。 2. 視・聴覚特性に基づく基礎実験結果から,無響室において左右のチャンネル間にレベル差をつけることにより移動感を出すスピーカ受聴方式と60インチ液晶プロジエクタを組み合わせた二点音源モデル自動車騒音源シミュレータ,および特殊な部屋が必要でないスピーカ再生時と同じ伝達関数にして音を鼓膜に伝える新たに提案した耳栓型電気音響変換器を用いたイヤホン受聴方式とへッドマウントディスプレイを組み合わせた自動車騒音源シミュレータを設計・製作し,それらの有効性を実験的に検証した。
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