研究概要 |
本研究では、人間とコンピュータのインタフェイス改善を目的として、適切な認知負荷に関する側面、認知情報処理能力の干渉をいかに緩和するかの側面、メンタルワークロードの側面から検討を加えた。まず,平成9年度には,マルチウインドウ・システムと計器監視システムにおいて,認知的負荷の増加に伴う視覚情報処理容量の変化を、視野の狭窄化、視線の動きの変化に基づいて明らかにし、視覚情報処理容量の低下がエラーの増加といかに関連しているかを明らかにした。さらには、有効視野を定量的に評価するための方法を提案し、注意の広さと深さのトレードオフの問題をモデル化し、中心視での認知的負荷が増える事によって視野狭窄現象が生じることを明らかにした。平成10年度には,同種の作業を被験者に長時間負荷して、認知的負荷に伴うストレスを脳波のウエーブレット変換に基づいて評価することを試み、人間にとって適度な認知的負荷をもつインタフェイスについて考察した。認知的負荷の増大に伴うメンタルワークロードの増加を評価するには、α波、β波、θ波のパワー値の総和の大きさとパワー値の最大値、および80%のパワー値の出現時間が非常に有効であることが明らかになった。平成11年度には、マルチモーダル・インタフェイスや二重課題へ音声入力を用いた場合の有効性を検討した。キー入力のみで作業を行うよりも、主作業もしくは副作業に音声入力を用いることは、手の動きを抑えデュアルタスクにおける作業負担の軽減に有効であることがわかった。また,マルチモーダル・インタフェイスにおける音声入力の利点と利用上の問題点が明らかになった。
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