研究概要 |
1.形態学的特徴と特異な含ハロゲン化合物であるenshuol(トリテルペン)を生成し,本邦太平洋岸の暖海域に生育する種を,新種エンシュウソゾ(Laurencia omaezakiana)として記載した。 2.形態学的特徴,近縁種との交雑実験及び含ハロゲン化合物組成を基に,日本沿岸に広く分布する種を新種ニッポンソゾ(Laurencia japonensis)として記載した。本種から新規化合物として含臭素ジテルペンのanhydroaplysiadiolとC_<15>アセトゲニン(japonenyne-Aとjaponenyne-B)を報告した。 3.ウラソゾ(Laurencia nipponica)の多数のchemical races間の遺伝的関係を,培養実験・交雑実験・成分分析から明らかにした。 4.沖縄県・鹿児島県のアカソゾ(Laurencia majuscula)から新たに3種類のセスキテルペンを見つけ,世界中の暖海域に広く分布する本種が四つのchemical racesを含んでいることを示した。名護市の個体群の生成する新規セスキテルペンの構造を決定し,10-bromo-9-hydroxy-chamigra-2,7(14)-dieneと命名した。この個体群は,オーストラリアのクイーンズランド州から高知県沖の島にかけて広く分布するchemical raceに属するが,このraceの中でも分化が進みつつあることを示している。 5.沖縄県から採集した新種と考えられる種(Laurencia sp.)から2種類の新規C_<15>アセトゲニンを単離し,bisezakyne-Aおよびbisezakyne-Bとして報告した。 6.沖縄県から採集したフクレソゾ(Laurencia mariannensis)から新規C_<15>アセトゲニンを単離し,mariannenyneと命名した。 7.マレーシアのクダ州から採集した未同定種から2種類の新規C_<15>アセトゲニンが得られ,lembyne-A並びにlembyne-Bと命名した。また,サラワク州から採集したLaurencia pannosaから2種類の新規セスキテルペンが抽出され,それらの構造を決定し,pannosane並びにpannosanolと命名した。
|