研究課題/領域番号 |
09871026
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
外山 みどり 大阪大学, 人間科学部, 教授 (20132061)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 社会的認知 / 帰属過程 / 推論 / 文化 / 実験的研究 |
研究概要 |
近年、人間の心理プロセスの諸側面に文化の影響が見られるという指摘に基づいて、比較文化研究がさかんに行われている。しかし基礎的な認知判断を含んだ社会的推論や掃属のプロセスが、どの程度文化に規定されているかは明らかでなく、実証的に検討されるべき重要な問題である。本研究では特に、社会的場面で他人の行動を認知・解釈する際に、個人の性格や態度などの内面的な要因と、周囲の環境・状況の諸要因のどちらを相対的に重視するかが、文化によって異なるか否かという問題を取り上げ、アメリカ合衆国のDr.D.S.Krull(Northern Kentucky大学)、及びDr.J.S.Uleman(New York大学)のデータと比較することを目的に、共同研究を行った。Dr.Krullとの共同研究では、アメリカでの実験で使われた映像刺激を送付してもらい、それをコンピュータに読みこんで、刺激提示、反応時間の測定などの手順をプログラム化した。同一機種、同種ソフトであるにもかかわらず、日米のコンピュータの微妙な差異など技術的問題から実験準備は難航し、ようやく実験実施にこぎつけたが、行動や表情表出の文化差が混入するなど、実験統制の問題点が浮上した。これと同時に、映像刺激に比べてコントロールが容易な文字刺激による比較研究も試み、欧米で広範に見出されている「対応バイアス」現象が、日本でも明確に認められることを明らかにした。さらに、Dr.Ulemanを中心とするアメリカの研究者が見出した「自動的特性推論」(人間の行動から即座にそれと対応した性格特性を推論する傾向)に関しても、日本人大学生を被験者とする実験を行い、アメリカの結果と類似した実験結果を得た。研究はまだ続行中であるが、以上の結果より、「個人の内的要因を過度に重視する判断傾向は欧米に特有なもの」という見解は適切でなく、普遍的な判断傾向の基盤の上に、より微妙な形の文化差が存在するものと推察される。
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