研究概要 |
本研究は,パタニティ・ブルーとよばれる子どもの誕生から3か月位までの間にみられる,父親の役割をめぐる心理的動揺や葛藤による心身の症状を指す現象についての研究である。1987年にプルーエットがはじめて指摘した現象であるが,今日,子育てにおける父親の役割や父親になることの意義等に関する内外の研究が隆盛であるにもかかわらず,その発生のメカニズムの解明と防止策については,全くといってよいほど触れられていない。 本研究は,少子化の問題や核家族に関する研究の蓄積が従来とくらべ顕著になっているが,父親と子ども,さらには父親と子育てという社会的,今日的課題を深める上で,父親の心理社会的対応をより細かく実現するためにも,これまで注目されなかった課題を取りあげることによって,父親研究をより推進する役割をになうことになる。 本年度は,これまでのパタニティ・ブルーの特徴をチェックする質問項目の選定とその関連研究を,再度洗い直しをして,本研究の意義を確認する作業を実施した。チェック・リスト等は近々,学会や研究紀要等で発表する予定である。 なお,わが国における最近10年間の父親研究のレビューを行うことによって,父親研究のもつ一つの盲点を指摘した。掲載論文は鳴門教育大学研究紀要(教育科学編)の第15巻である。
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