研究課題/領域番号 |
09871062
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
東洋史
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
足立 啓二 熊本大学, 文学部, 教授 (70128247)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 流通 / 分業 / 経営 / 専制国家 / 共同体 / 客商・牙人体制 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、商業を中心とする中国における経営のあり方を示す諸史料の収集を行うとともに、中華民国期の調査類と比較しつつ、それらの分析を行った。分析の結果得られた主要な知見は、以下のようである。 1. 自律的な団体を持たない中国型の社会構造の下では、安定して他人の意思を領有することが一般的に困難である。そこでは長期的で固定的な雇用を実現し、労働者に職務への専念を確保することが困難である。近代に至るまで、中国の経営においては、経営内部で自己計算による半ば独立した経営を営むことが容認されていた。経営内部で労働力支配は完結せず、外部権力へ大なり小なり依存していた。 2. このような社会条件の下で、労働者を何らかの積極性をもって労働に従事させるためには、経営の利害と労働者の自己利害とをリンクさせることが必要であり、そのための様々な方法が作られた。中国経営を特徴づける合股や包は、その端的な事例である。 3. このような社会条件の下では、相対的に独立した経営の各部分が、統一された全体的方針の下に行動するという大規模経営成立の条件は、容易に満たされなかった。経営の拡大は困難であり、半ば独立した経営の集合によって、大規模経営は代替された。 4. そこでは経営の外延部分の境界や、経営行為への責任関係が不明確で、したがって経営間の構造的な分業関係の形成は困難であった。 5. こうした結果、流通も含めた分業体系が、流通の量的拡大にも関わらず形成されなかった。逆に分業的体系の非形成が、流通の量的拡大をも制約した。
|