研究概要 |
日本の国際化に伴って増え続ける外国人居住者。日本語を十分に理解できない人々に災害時の情報はどう伝えられるべきかの調査・研究を行ってきた。3年間の研究成果として,災害発生時に,日本語にも英語にも不慣れな外国人住民が、より適切な行動をとれるようにする情報の提供方法についてのマニュアル「災害時に使う外国人のための日本語案文(全国版)」「災害が起こったときに外国人を助けるためのマニュアル(コミュニティ版)」をまとめた。 <事例の内容> 緊急時に,複数の言語で情報の提供を行うことは不可能である。日本に住むほとんどの外国人に理解してもらえる言語は、わかりやすい日本語の表現である。普通の日本語ニュースは難しすぎてわからないが,買い物をしたり,バスに乗ったりできる程度の日本語を使えば,十分に理解できる外国人が多数生活している。ボランティア団体が立ち上がるまでの3日間の情報を、やさしい日本語で伝えていくことを提案した。 <事例の特色> マニュアルの使い手を,「ラジオ放送担当者,テレビの字幕スーパー担当者」「行政関係者。とくに外国人担当者および防災担当者、あるいは防災無線担当者」「外国人の支援にあたるボランティア団体」と想定した。マニュアルでは、防災後3日間に必要とされる情報の種類を時間軸にそって示した。「外国人だけに必要な情報」以外に,「日本人と同じように必要な情報」や「日本人にとって常識でも、外国人には気付きにくい情報」も含めている。また、具体的な案文の作り方についても詳述した。巻末にはCDでの音声サンプルも添付しており,実際にテレビやラジオで流すことも可能なようにした。 同マニュアルは平成11年度の消防庁町づくり大賞「消防庁長官賞」を受賞した。また当該研究は平成11年度の村尾学術研究奨励賞を受賞した。
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