研究課題/領域番号 |
09871074
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語・英米文学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 耕司 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (00173427)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 生成文法 / 極小主義統語論 / 派生の経済性 / 最適収束派生 / 諸科学の収束 / 分子進化生物学 / 極小主義理論 / 厳密最適化 / 最適設計 / 要素還元論 |
研究概要 |
本研究の当初の目的は人間の言語計算機構の最適性を局所経済性の観点から明らかにし、同時に統語構造と意味構造の対応関係を適切に関係づけることであり、それは昨年度のうちにある程度達成されたと考える。むしろ研究者の昨年度後半よりの主たる関心は、極小主義統語論の根本理念や研究戦略を自然科学全体の流れの中にどのように位置づけられるかという科学哲学的な論考と、より具体的な分析のレベルで生成文法と分子生物学や量子力学との調和の可能性を探り、人間言語の一般特性はより抽象化したレベルで自然万物の法則の具現化ではないかという洞察を推し進める作業にある。人間言語だけが他には見られない特性を持つ、というチョムスキー的な独善主義にとらわれることなく、言語も自然物であり、とりわけ分子細胞レベルの生体現象と極めて類似した振る舞いを示しており-例えば、解釈不可能な素性の消去とはDNA転写におけるRNAスプライシングに極めて似た過程であるということ、またタンパク質3次構造の決定やシナプス形成における標的ニューロン検出といった、最適収束派生決定と同クラスのおそらくは計算不可能な問題を解決する方法を生命も言語も内包しているということ、等々-従って言語は実定的な意味で生体情報処理能力に他ならないという認識を根本に据えた新しい言語研究の方向性、従来の生成パラダイムを凌駕する、言わば「生命科学としての言語学」の可能性を模索する契機を得られたことが本研究の最大の成果であると言え、この壮大なテーマに今後も引き続き取り組んでゆく予定にしている。
|