1970年代末より、新保守主義の潮流を背景に、アングロサクソン系諸国を中心とした「公的部門」の改革は、1990年代に入り、公的企業の民営化から行政システムの包括的な変革へと次第にそのウェイトを移してきた。より具体的には、行政サービス分野への民間委託などの広義の民営化手法、エイジェンシー、内部市場システムの導入などである。このような「契約型システム」の導入は、「伝統的官僚システム」がその基本とした「法令・規則によるマネジメント」を「目標/業績によるマネジメント」への変革することであり、「目標/業績によるマネジメント」が容易となるような組織の「分権化/分散化」がその前提となる。その上で、行政サービスのカテゴリーごとに最適な「契約型システム」を採用し、行政サービスの効率化と質的向上を実現するのである。 このようなニュー・パブリック・マネジメントの働きは、イギリス、ニュージーランド、カナダ、アメリカなどの「アングロサクソン・タイプ」とドイツ、スウェーデン、ノルウェーなどの「ユーロンピアン・タイプ」に類別される。前者は、公的部門に民間部門の行動原理をより広範に適用することを志向し、民営化手法を極限まで活用し、ネオ、テイラー主義に基づきトップタウン的な改革を急激に進めているのに対し、後者は、公的部門の規範や市民参加の仕組みを重視しながら、ノン・テイラー主義に基づき、組織運営を中心とした穏健な改革を進めようとしている。 前者の諸国では、マクロ経済の良好なパフォーマンスを背景に情報化を核とした「ニュー・エコノミー論」を積極的に評価する論調が大勢を占めているのに対し、後者の諸国では所得格差の拡大などのマイナス面から「ニュー・エコノミー論」とは一線を画した経済運営が志向されている。このような政策モデルの優位性は、ニュー・パブリック・マネジメントのタイプと併せ今後の研究課題である。
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