研究概要 |
今年度は,昨年度直交群の場合に研究したPoincare級数をユニタリ群の場合に導入しその性質を研究した.H=U(1,1)をG=U(2,1)の部分群と見なす.H上のweight lの正則保型形式fに対し, P_f(g)=Σ__<γ∈H_Q\G_Q>a_l(g)f(h(g)) (g∈G_A) とおく.ここに,h(g)∈H_Aは,分解G_A=T_AH_AK_A(TはGのmaximal spnlit torus,K_AはG_Aの極大コンパクト部分群)におけるgのH_A-成分,a_l(g)はgのT_A-成分から定まるある重み関数である.この級数を,fに付随するPoincare級数という.得られた結果の概要は次の通りである(菅野孝史氏(金沢大・理)との共同研究). 1. P_fはG_A上のweight lの正則尖点形式であることを示した. 2. FをG_Aのweight lの正則なHecke eigenformとする.このとき,7,(F,P_f)=c(F)・(F|_<H(A)>,f)_H_Aが成り立つ,ここに,c(F)は,Fのstandard L-関数の特殊値.これより,(F,P_f)_G_A≠0⇔(F|_<H(A)>,f)_H_A≠0が得られるが,このことより,P_fの研究が,(U(2,1),U(1,1))の場合のGross-Prasad予想((F,P_f)_G_A≠0のための条件を(F,f)に付随するL-関数の特殊値で与える)に示唆を与えることが期待される.
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