研究分担者 |
日置 尋久 京都大学, 総合人間学部, 助手 (70293842)
木上 淳 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (90202035)
宇敷 重広 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (10093197)
櫻川 貴司 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (60196136)
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研究概要 |
フラクタル理論と超越数論の横断的,組織的研究を目指した本研究において,以下に述べるような個別的結果が得られたので,これを報告したい.目標であった統一的結果を得るまでには至らなかったが,目標に向かって着実な土台ができたものと自負している.まず,自然なパラメータの入った特殊なセルフアファイン集合の連結性の問題を研究した.実際,代数的な問題と密接に関係しており,いわゆるマンデルブロー集合の自己相似版として力学系からみても極めて興味深い問題である.カイヤニエロの神経回路モデル(単独ニューロンに対する南雲・佐藤モデル)に関しても,超越数論に登場するマーラー関数と密接な関係があり,ニューロンモデルを摂動することによって超越数論に対する新たな寄与が生じるだろうと期待できる.今後も引き続き研究を進めていきたい.研究分担者の結果としては,未知空間におけるパスプランニングアルゴリズムを研究し,到達可能性の自動判定問題を論じた(桜川).動的パターン投影法を提案し,ビデオカメラとビデオプロジェクタを用いたプロトタイプシステムを実装した(日置).無限自己相似格子上のラプラシアンのスペクトルを研究し,ある種の対称性のない場合にはスペクトルがpure pointになることがわかった.Diamond Fractal上にラプラシアンを構成する方法を開発し,数値実験を行った,自己相似集合上のラプラシアンに対応する熱核の漸近挙動を研究した(以上,木上).複素力学系と超関数の理論をエルゴード理論に結び付けて研究を行い,力学的ゼータ関数を,複素リュエル作用素のフレッドホルム行列式とみなして,その固有関数を特定した(宇敷).
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