研究概要 |
・一般化された共変微分にスピン接続を含ませることにより、アインシュタイン・ヒルベルト重力の拡張である高階微分重力理論に到達した。この理論は、一閉線の量子補正レベルでは繰り込み可能であるが、プランクスケールの質量を持つ重力子モードの一つは不定計量を持つ。これらの結果は論文として発表した。 ・一般化された共変微分の形式でSO(10)大統一理論の再定式化を行って、微調整(fine-tuning)問題を分析した。この理論形式では、ヒッグスポテンシャルの係数は共変微分が含むパラメーターの関数となり、それらの全ての値を微調整することは容易ではない。分析の結果、大統一群SO(10)が4種類のヒッグス場(210-次元,126-次元,45-次元,10-次元)によって4段階の対称性の低下を経由する場合は、ヒッグス場の全ての係数の値が微調整可能なパラメーターの領域が存在することが示された。 ・電弱相互作用を無視すると、クォークセクターは高エネルギーでSU(3)_L×SU(3)_Rカイラル対象性を持つことが知られているが、それに代わる低エネルギーでのカイラル対称性は知られていなかった。一般化された共変微分の研究を通して、低エネルギー領域ではカイラリティを混合する大域的SU(2)対称性が存在することを見いだした。この対象群の下で、一般化された共変微分は"共変的"に変換するのに対して、ディラック演算子は共変的ではない。この結果を、6th Wigner Symposiumで報告し、論文として発表した。 ・当萌芽的研究の課題を主テーマとして、平成11年11月26日と27日の両日、全国より20余名の研究者の参加を得て京産大で研究会を開催した。
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