研究課題/領域番号 |
09874074
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高橋 博樹 日本大学, 文理学部, 助教授 (80188044)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 電気分解 / 電解酸化 / 高圧 / 酸化物超伝導体 |
研究概要 |
本研究の目的は遷移金属酸化物に高圧下で電気化学的手法を用いてキャリアードーピングを行い物質合成の一つの手法を開発する事にある。 圧力の利点は純粋に物質の体積を変化させることができることであるが、特に複合酸化物の場合は原子間距離の圧縮される割合は結晶内の場所場所によって異なることが多く一様に圧縮されるのではない。このことは結晶内の電荷分布が圧力によって変化することを示しており、電気化学的な手法を用いる場合、圧力に対しその効果が異なることが期待される。このような発想から本研究では高圧下で遷移金属酸化物に対し酸素ドープを試み試料の電子・磁気状態への影響を調べた。 交付された科研費では2GPaまで発生できる圧力発生システムを構築し、測定系の整備も行った。また酸化実験をするための試料を合成する電気炉の整備も行った。 試験物質として最初に絶縁体のLa_2CuO_4の合成を行い、一気圧下でNaOH水溶液中での電解酸化とKMnO_3水溶液に直接浸す方法を行って金属化を試みた。生成物の帯磁率測定から約20Kで超伝導を示したことから、酸素がドープされたと判断された。 今年度の大きな成果は、高圧セル中でKMnO_3水溶液を圧力媒体としてLa_2CuO_4粉末を加圧し60℃で1週間反応させたところ超伝導を示したことから、高圧セル中でも酸素ドープがされていることがわかったことである。現在、反応させる圧力を変化させて超伝導転移温度、超伝導の体積分率などに及ぼす影響を調べる予定である。 物性物理学的見地からのこのようなアプローチは先例がなく独創的であり物質開発において開発領域が大きく広がることは間違いない。La_2CuO_4以外の物質でも実験を検討中である。
|