研究課題/領域番号 |
09874079
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関本 謙 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00179342)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | アロステリック転移 / 分子モーター / エネルギー変換 / stochastic energetics / 熱揺動 / 加水分解 / ミオシン / キネシン / 熱力学 / ランジュバン方程式 / タンパク質 / 非平衝 / 統計力学 |
研究概要 |
本研究で目指したのは、ミクロな揺ぎの世界における自由エネルギーの実体は何か?ミクロな対象間で仕事をするとはどういうことか?を実直に追求し、タンパク質分子モーターにおける自由エネルギー変換と制御のメカニズムを立体構造に即してサブタンパクレベルで明らかにすることである。採用した方法論は、まず(a)タンパク質モーターのおかれたミクロな揺ぐ世界の特徴づけ(すなわち、‘量子効果は無視できるという意味でマクロだが、個別の過程で揺ぎを無視できないために熱力学を直接適用できないという意味でミクロ')をおこない、次に(b)その世界における本質的な問題に焦点を絞ること、である。(b)の内容は(1)ATP分子に比べて大きなタンパク質サイズの分子変形をうみだすメカニズムは何か、(2)利用可能な加水分解エネルギーのうち、エントロピー由来の部分がタンパク質内のアロステリックな相互作用を介してどのように仕事に変換されるか、(3)3つのサイクルすなわち加水分解反応、コンフォーメーション変化、及びフィラメント(アクチンまたは微小管)との着脱が互いにタイミングを制御するメカニズムは何か、の3点について、立体構造の知見および1分子計測の知見に照らしながら考察をすすめた。その結果、それぞれの問いに関して概念レベルのモデルはおおむね見え、構造生物学者の賛同も漸く得られるようになった。今後は、タンパク質3次構造を具体的に反映した実証的モデル化を目指す。またミオシン・キネシン・ダイニンにおける動的機能にはいくつか「不思議な」実験結果があり、これらについても実体を捕えた理論を考えてゆく。
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